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Channel: ミロスラフ・メシールのテニス Miloslav Mecir's Tennis
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Mecir's Tennis (153)  ボールの先端を見よう

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ちょっと悲しいというのか、歳をとってくると目に来ます。以前よりも、コート上でボールを見ることができなくなってくる…気がします。

私の場合、特に、ボレーに影響が出てきています。今まで打てていたボールをボレーで打ち返せないのです。ネットしたりアウトしたりと、ボールをラケット面の真ん中で打てずにミスの回数が増えてきました。

が、最近、年齢のせいにするのは正しくないのではないかと思い始めています。単なる「言いわけ」ではないのかと。

私(ごとき)のレベルでは、実は、もともと、若いころからボールをきちんと見ていなかったのではないかと思うのです。見えなくなったのではなく、元から見ていないのではないのかと。若いころは目がボールから切れて(離れ)てもヤマ勘で打てていたボールが(年齢とともに体の反応が悪くなったために)打てなくなってきただけではないのかと。

そこで、もう一度考えてみました。ボールを見るとはどういうことなのでしょうか。

ボールを見るという事は、ボールの軌道を少しでも早く知るという事です。本当は、ボールの進む場所を先に見る(予測する)ことができれば一番良いのです。が、もちろんそれは無理です。

そこで、少しでも早くボールの飛球経路を知るために、ボールの先頭を見ます。ボールの飛ぶ先端(前側)を見ることで、ほんの一瞬ですが、ボールの進む方向(情報)を取得できるのです。


ボールの先端を見るということ自身は、実は、それほど意味があるわけではありません。ボールが進む速度を考えると、先端から得る情報はその後のボールの軌道の情報をほんの一瞬(意味のない程度)だけ早く教えてくれるだけです。

しかし、ボールの前を見るように心がけていると、動くボールに対して、視線が遅れることがありません。一瞬、ボールを追い切れなくなったとしても、すぐに目が追い付いてくれるのです。


試してみたらわかったのですが、こうやってボールを見ていると、ボールの回転やボールのライン(野球のボールで言うところの縫い目)までもが見えるようになります。つまり、年齢に関係なく、視力に関係なく、ボールは見えるのです。年齢を理由に「最近、ボールが見えなくなってねえ」というのは全く嘘だということが分かるはずです。

Mecir's Tennis (154) どうしてもウッドラケット?(ふたたび)

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Googleで、時々、Miloslav Mecirと言う文字列で検索をしてみます。特に画像検索をすると、新しいメシールの画像が見つかることがあります。

Webサイトを見ると、これもありがたいことに、スロバキアのWebサイトであっても、自動翻訳のおかげで「なんとなく」記事の内容が分かることがあります。

下の画像は、あるチェコのWebサイト(上)とチェコオープンを紹介したWebサイト(下)の画像です。



どちらのページもチェコ語なので何を書いているのかわからないのですが、どうやら前者のページはメシールのラケットがウッドであることを書いているようです。この写真を見る限り、比較的最近のメシール(45歳前後?)の写真のようですが、往年のスノワートのラケットを使っています。(メシールの現役時代のラケットのアップ写真は、メシールのテニス(112) どうしてもウッドラケット?(おまけ)をご覧ください。)

このWebサイト(の自動翻訳)を読む限り、どうやら、メシールは、このスノワートのラケットのストックをまだ持っているようです。引退後のメシールの写真でも、彼がウッド以外のラケットを持っているところを見たことがありません。大変なこだわりようです。

三度(みたび)、ブラチスラバへ!(2)

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三度(みたび)、ブラチスラバへ!(1)の続きです。まずは、ブラチスラバにある中央駅の写真を。

雪解けのスロバキアテニス協会コートです。コート整備が進んでいました。冬に来た時にあったエアドームはすっかり片づけられていました。きれいな赤土のコートでした。


ジュニアの選手が練習していました。後ろに見えているのはアリーナ(Aegonアリーナ)です。

テニスパブ(Tenis Pub)で、ビールとスープを飲みながら、ジュニアの練習を見ていました。Free WiFiサービスがあるので、日本とSkypeをしながら。スープのお味は…比較的シンプルなお味。

今回も、スロバキアでメシールに会うことはできませんでした(当たり前ですね)。いつか、直接会って話を聞く機会がきっとありますように…。

Mecir's Tennis (155) テイクバックでは左肩を入れる…の謎。

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フォアハンドのテイクバックではしっかりと左肩を入れる…とよく言われます。が、実際にメシールのプレーを見ていると、いつもそこまで左肩が入っているわけではありません。と言っても、完全に左肩がひらいた状態で打つことはまずないのですが。

左肩を入れてテイクバックをしようとすると、どうしても背中がネットに向いてしまって、クローズドスタンスになります。バックハンドではこれで正しいのですが、フォアハンドでは背中はネットには向きません。

どう考えたらよいのかなあ…と思ってメシールのビデオを観ていて、ふと気が付きました。

確かにメシールのフォアハンドでは、体がボールに対して横を向いています。イメージとしては、飛んできたボールの飛球線に対して、体がネットに対して2時から3時方向を向いています。

これは、何のためか。簡単です。体を回転させてボールをヒットするためです。

つまり、ボールが飛んできたときに、体を横に向けたり、左肩を入れたりすることが大切なのではないのです。体を回転させながらボールをヒットすることが大切なのです。

どれだけ体を横に向けるか、左肩を入れるかは、どれだけ体を回転させながらストロークを打つことができる(余裕がある)かによって決まってきます。

相手のボールがゆるくてチャンスの場合には、思い切って左肩を入れるのもよいでしょう。なぜなら、それだけ大きく体の回転を使ってボールを打つ余裕があるからです。

相手の球が速くて低い場合。あまり大きな体の回転は使えないでしょう。そのような場合でも、最低限の回転を確保するためには、ボールに対して体を横に向ける必要があります。多少、左肩が開いていたとしても。

強弱の程度はあれ、必ず、体を回転することでボールをヒットする。だからこそ、体はボールに対して横向きになるのです。腕の力は不要です。体の回転と大きなフォロースルーでボールを打つ(運ぶ)のです。大切なのは、強くボールを打つことではなく、ラケット面をボールに対して正しくあてることです。

ボールに対して体を横向きにするのは、目的(結果)ではなく手段だという事です。

Mecir's Tennis (156) 3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その1)

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テイクバックとフォロースルーの力の入れ方は3:7(2:8)などと言います。「スイングでは、後ろを小さく、前を大きく」という事です。

メシールのフォアハンドを見ていると、大げさではなく、テイクバックは0でフォロースルーが10と言っても過言ではないのかと思います。もちろんこれは、脳内イメージで、実際にはテイクバックで右腕の力が0にはならないでしょう。が、イメージとしては、テイクバックではほぼ力を抜いているイメージです。逆に、フォロースルーをかなり大きくとるイメージです。


テイクバックでの右手の力は0です。右足を決めた時に、ラケットを右腰のところにセットしたら、その後は右腕は何もしないのです。右足はくさびを打つように、ボールに対してしっかりと固定します。次に骨盤を回してテイクバックを起動します。さらに、腕を使ってテイクバックを・・・・しないのです。

右腕は力を抜いて、腰の位置にセットしたままにします。右腕は、体の右横ではなく体の前に置きます。(視野の中に右手が見えるぐらいの位置です。)

体(骨盤)がテイクバック側に回転する間も、右腕は動かしません。と言っても、力は抜いて、楽に構えます。

さらに、体(骨盤)がフォワードスイング側に回転を初めても、まだ右腕は動かしません。体の回転についていくだけです。

右腕が意識的に動くのは、インパクト前あたりからです。ここで初めて、右腕を意識して使います。と言うよりも、今度は、右腕を大きく使います。その勢いは、フォロースルーまで続きます。どんなに大きなフォロースルーを取っても構いません。いえ、大きなフォロースルーを取らねばなりません。(0対10の10の方です。)

言い換えると、10のフォロースルーが取れるように、テイクバックからフォワードスイングを準備せねばなりません。右足の位置を誤ると、これができません。右足の位置を決めることがどれだけ大切で微妙な事であるかが分かると思います。

フォロースルーは、ボールの質を決めます。縦系に振り上げてスピン系のボールを打つ場合、横系に振ってサイドスピン系(順クロス)のボールを打つ場合、インサイドアウトに振ることで逆クロスのボールを打つ場合など、すべては大きなフォロースルーでボールの質を決めます。

特に大切なのは、パンチの利いたボールを打ちたい場合です。この場合は、脇を締めることでボールをしっかりと打ちます。脇を締めるだけで、右腕の使い方は同じです。

テイクバックでの右腕の使い方が0であるというのは、窮屈なスイングに思う人もいるでしょう。実際、最近の厚いグリップのフォアハンドでは、大きなテイクバックを取ることが多いので、このメシールのフォアハンドには違和感があるかもしれません。

もちろん、これは脳内イメージですので、実際には右腕は多少動きます。小さなループを無意識に作ります。(本当に、右腕を腰のあたりにがちがちに固定してしまわないように注意してください。そのために、テイクバックでは右腕の力を抜いています。)

もう一つ、右腕はあまり動かなくても、ラケットは動きます。ラケットは長いので、右腕のグリップの方向が少し変わるだけでも、ラケット先端は大きく動きます。

例えば、メシールのフォアハンドの様子(1枚目と2枚目)を見てください。ラケットは1から2にかけて大きく移動しています。が、右腕は右腰に対して、そんなに大きく動いていません。(まったく動いていないわけではないのですが。)

グリップの向きや右脇の開き方など、ラケットの支点となる部分が動けば、ラケット先端は大きく動くという事です。したがって、言い換えると、やはりメシールのフォアハンドでは、「ラケットは右腰前に固定したままでテイクバックする」というのが正しい脳内イメージなのです。

こちらのフォアハンド画像(連続写真)でも、テイクバックで右腕が動いているように見えますが、脳内イメージでは、ほぼ右腕を固定しているはずです。(逆に、右腕をテイクバックで動かした場合には、もっと大きなラケットと右腕の移動が見られるはずです。)

Mecir's Tennis (157) 3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その2)

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3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その1)で書いた内容の補足をしておきます。


まず、レディーポジションからテイクバック(骨盤回転)までですが、右手の位置は、体の正面になります。この右手の位置は重要です。右手の位置が右側のズボンのポケットに手が入る位置(体の右側)ではNGです。あくまで、体の前です。脳内イメージとしては、右腕全体が体の前にあるような感じがするはずです。

右腕の置き場所ですが、あまり良い例ではありませんが、腕を骨折などしたときに固定するイメージが近いかもしれません。


骨盤回転による体のテイクバックの後に右腕によるテイクバックがあります。骨盤回転テイクバックと右腕によるテイクバックを明確に分けることが大切です。この2つを同時に行おうとすることは、フォアハンドストロークの不安定さに直結します。

この腕テイクバックは、2点、注意が必要です。①できるだけ小さなループが望ましい、②右肩の前あたりでループさせる脳内イメージが理想的です。この右腕によるテイクバックを最小にすることを、3対7と言うよりも0対10のテイクバックとフォロースルー(その1)では0(ゼロ)と書いたわけです。

試してみればわかりますが、このような小さなテイクバックを取ると、時間の余裕ができます。ボールが飛んできても、振り遅れるというよりも、むしろ、ボールがネットを超えてワンバウンドし、さらにこちらに向かってくる時間がたっぷりと取れます。この時間を有効に生かして、ボールのコース、球種、高さなどを選択するのです。大きなテイクバックではボールに振り遅れないなどの心配がありますが、このテイクバックではむしろ攻撃的な気持ちになれます。いろいろな選択肢の中からボールをヒットできるので、テニスそのものを楽しむことができるのです。

メシールが好調の時には、体に全く力が入らず、自由自在にボールを操るように見えるのは、実はこの方法があるからだと思います。

さて、体の前に右腕を位置し、小さなテイクバックを体の前(右肩の前)というテイクバックをすると、一つ、心配があります。本当にボールに力が乗るのか、打ち負けないかということです。実際、ゲームなどでは、一度でもボールに打ち負けたりすると不安になって、テイクバックが大きくなって行ってしまうことがあります。

これが落とし穴です。

ボールにパワーを与えるのは、右足(特に右ひざ)の足の運び、骨盤の順回転(フォワードスイング)、右腕のフォロースルーなどの力です。このメシールの打ち方が許されるのは、これらがしっかりとボールに力を与えることができるということが条件になります。それをさぼって右腕のテイクバックの大きさでボールを打とうとすると、スイング全体を変えなくてはならなくなります。メシールのフォアハンドではなくなるのです。

もう一つとても大切なのは、フォロースルーです。よいフォロースルー(つまり大きなスイングで、かつ、ボール方向に腕とラケット面がしっかりと伸びていく)は、テイクバックの時からイメージしておきます。「フォロースルーありき」です。

スイングの目的が大きなフォロースルーなのですから、フォロースルーで「ちびる」心配がなくなります。フォロースルーのイメージを最初からもってスイングすることが、安定した、狙ったところにボールを打つコツです。

Mecir's Tennis (158) 体重移動は大切(特にメシールフォアハンドでは大切)

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メシールのグランドストローク(特にフォアハンド)は、イースタングリップが特徴です。最近の(昔と比較して)パワーのあるラケットでも、イースタングリップは、パワーの出にくいグリップです。

別の言い方をすると、最近のパワーの出やすいラケットの特長を活かしてないグリップとも言えます。

しかも、薄いグリップはラケット面の調整が微妙で、面が少しずれるだけでボールはネットしたりアウトしたりと、コントロールができます。スイングでパワーを補おうとすると、ラケット面がぶれるという弱点があります。

パワーが出にくく、しかもパワーをスイングで補うことができない(ラケット面がぶれやすい)何とも厄介なグリップが、イースタングリップです。

ボールコントロールは右親指からスイングする(フレーム方向にスイングする脳内イメージ)でよいとして、パワーはどうやって加えればよいでしょうか。

それは、次の2点です。
  1. 素早いテークバック
  2. 前方への体重移動
この2つは独立ではなく、連携しています。前方への体重移動がボールへのパワーになるわけですが、そのためには、素早いテークバックが必要です。テークバックが遅いと、どうしても、スイングそのものでボールにパワーを与えようとしてしまうからです。少しでも早く構えて、しっかりと体重を前に移動してボールに力を与えることが肝心です。

どんなボールでも左足(フォアハンド)を踏み出して打てるわけではありません。体重移動=左足踏込ではありません。どんなボールでも、少しでもボールに体重を乗せて打とうとすることが大切なのです。ボールを押し出すように打つのではなく、体重を載せようとすれば自然とボールを押し出す形になるというのが理想です。

例えば、右足を踏み出してオープンスタンスでフォアハンドを打つ時すら、体重を前に乗せることはできるはずです。

Mecir's Tennis (159) 相手のボールが厳しい場合の対応

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Mecir's Tennis (158)では、最近のスピン系のフォアハンドに比べて、メシールの様なイースタングリップのフォアハンドは取り扱いが難しいという事を書きました。

では、逆に、メシールのフォアハンドが有利な場合はないのでしょうか。

その一つが、相手の打った球が速いまたは深いなど、よいボールだった時の対応です。この場合、次の3つのうち、一つをコンパクトにすることで対応が可能です。どれでしょうか。
  1. ボール地点に足を運ぶステップワーク
  2. テイクバック
  3. フォロースルー
正解は、2のテイクバックです。メシールのフォアハンドでは、緊急の場合には2のテイクバックをかなり(極限まで)小さくすることができます。脳内イメージで言うと、ほんのちょっとだけラケットを引く程度まで小さく、です。

これは、言い換えると、1と3は手を抜いたり、省略したり、コンパクトにしてはいけないということも意味しています。もう少し詳しく書きましょう。

もし、相手の打ったボールが速くまたは深く飛んできた場合、通常と同じように1のステップワークをせねばなりません。この部分を省略(手抜き)をしてはいけません。これは、つまり、ステップワークが間に合わないとテイクバックする時間が取れないのではと言う心配をしなくてもよいという事です。テイクバックを限りなく小さくすれば対応が可能です。

テイクバックはできるだけ小さくすることが可能です。ただし、それには条件があります。それは、テイクバックでは無駄な動きをしてはいけないという事です。

レディーポジション(構え)は、ラケットを持つ手が腰の前(胸の前にならない)女の子のもじもじポーズです。ラケットは原則的にはネット方向(0時方向)です。11時や10時を向いてはいけません。そこから、骨盤の回転だけで、テイクバックします。右肘はやや曲げたまま、多少のボールの高さにあわせます。

また、テイクバックを含めて、動き全体で体に力を入れすぎてはいけません。あくまで、力ではなく、正しいフォームでボールを打ち返すという意識が必要です。どちらかと言うと、体の力は通常のストロークよりも抜いても構わないぐらいです。

実際、相手のボールが速いという事は、多くの場合は、高く弾まないボールです。高い場合は、モジモジポーズの位置から右腕が上に上がることになりますので、時間がやや余分にかかります。いずれにしても、テイクバックは小さくとります。

相手のボールにもよりますが、テイクバックの開始はボールが足元近くで(相手のボールが深い良い球ですのでかなりベースラインよりにバンドすると想定します)バウンドするタイミングで開始しても、なんとか間に合います。相手のボールがネットを超えてベースライン近くでバウンドする間、できるだけ早くテイクバックを開始したいところですが、我慢です。まずはステップワークで、十分な場所まで移動(または足の位置を決める)ことを優先します。

小さなテイクバックの後、すぐにフォワードスイングに入ります。ここから先を小さくしてはなりません。この点も大切です。相手のボールに勢いがありますので、イースタングリップでは面を作るだけでもボールが返ることが多いのですが、それに甘えてはいけません。とても小さいテイクバックからであっても、フォロースルーは大きくとります。それによって、ボールの方向や高さなどをコントローするためです。

メシールのフォアハンドは、難しいうち方ですが、利点もあるということですね。

Mecir's Tennis (160) 打点は前

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何度も書いていることですが、フォアハンドのイースタングリップはウエスタングリップよりも打点が後ろだというのは、誤ったイメージです。イースタングリップではウエスタングリップよりも打点が後ろでもボールを打つことができると言うだけで、本体の打点は逆です。

イースタングリップはウエスタングリップよりもむしろ打点を前に置かなくてはなりません。ウエスタングリップのように体の回転とラケットスイングでボールに力を与えることができないため、前方への体重移動や大きなフォロースルーでボールに力を与えるためです。

上の写真はメシールのフォアハンドストロークのインパクトの瞬間です。どの写真も、右肩が前に突き出されて、腕はさらに前(ラケットはそのさらに前)にあります。このポイントが、イースタングリップ(メシールのフォアハンド)で一番力が入る場所だという事です。

Mecir's Tennis (161) バックハンドのテイクバック

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メシールのバックハンドで驚くのは、テイクバック(トップ)でラケットが体とほぼ平行になる点です。さらによく見ると、平行よりもラケットヘッドは外を向いています。(写真とイラストを見てください。)

脳内イメージでは、これはもう、ラケットヘッドを真横(9時)に引いているイメージだと思います。とても小さなテイクバックで、こんなのでどうやってボールに力を与えるのだろうと感じると思います。

その分、大きなフォワードスイングとフォロースルーが要求されるのが、メシールのバックハンドです。

Mecir's Tennis (162) イースタングリップの打点は前(2)

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Mecir's Tennis (160) イースタングリップの打点は前(1)を書いた後に気になってちらちらとWebを見ているのですが、なぜか、『ウエスタングリップの打点はイースタングリップよりも前(フォアハンドの場合)』という記事を見かけます。

下の錦織の写真を見てください。


 

これとMecir's Tennis (160) イースタングリップの打点は前(1)のメシールのフォアハンドインパクトを見ればわかりますが、明らかにメシールの打点の方が前です。

それは当然です。

一つは、ウエスタングリップ(錦織)では腕を曲げたままボールをヒットすることが多いので、それだけ打点は前になりにくい(体の近くになる)のです。

イースタングリップではスイングはインサイドアウトで前方・上方に向けて振るイメージですが、ウエスタングリップではアウトサイドインで左方向・上方(その後ワイパーのように下方)です。したがって、もう一つの理由は、横に払うウエスタングリップよりも、前に押し出すイースタングリップの方が打点が前になりやすいのです。

フォアハンドストロークに関して言うと、薄いグリップの方が打点が後ろと言うのは全くの誤りです。イースタングリップでは、以下に右肩を前に出して、腕を伸ばすところでインパクトできるか(それだけボールにパワーを与えることができるか)がポイントです。

Mecir's Tennis (163) ゆっくり打つという事は早く動くという事

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メシールは現役時代、解説者から「スイングスピードが信じられないぐらい遅い」と言われていました。「精密に測定したら、ラケットのガットにボールが接している時間がコンマ数秒長いのではないか」と言うコメントも効いたことがあります。

ゆっくりラケットを振ってボールをしっかり押し出す。まさに「一昔前のテニス」の基本通りです。

しかし、ゆっくりラケットを振るという事は、実は、速くラケットを振るよりも忙しいのです。

ゆっくりラケットを振ろうと意識すると、それまでの準備もゆっりになってしまいがちです。が、それは正反対です。

ゆっくりラケットを振ることができるのは、ラケットを振る準備が十分にできているからです。つまり、速くラケットを振る場合よりも準備を急がねばならないわけです。

早くステップワークをして、早く構えて、早くテイクバックをして…やっとゆっくりとラケットを振ることができるわけです。

ゆっくりとラケットを振るメシールのフットワークや準備が、決して忙しいように見えなかったわけ。実際には、ゆっくりと準備をしていたわけではありません。では、なぜ、準備もゆっくりしているように見えたのか。

それについては、別項で書きたいと思います。

全仏オープン2013男子準決勝 ナダル-ジョコビッチ:ナダルの払った代償とジョコビッチの未来

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ナダルが5セットの試合を制した。見終わった後どっと疲れて、試合中ずっと体に力が入っていたことが分かる。

ツォンガとフェレールには申し訳ないのだけれども、この試合が事実上の決勝戦だ。これを書いている時点で、どちらが決勝に進むかはわからないけれど、いずれにしてもナダルの優勝は動かない。決勝では、ナダルから1セットをとれるかどうかが注目になるだけだろう。

ナダルを止めることができる唯一の選手がジョコビッチだったのだろうが、ナダルを追い詰めたものの最後の一歩が届かなかった。この一歩は、しかし、あまりにも大きな一歩だ。5セット目を見ていて、そんな風に思った。

ナダルは、誰もが言うように、機械のようにぶれることなくボールを叩く。隙を見せると、必ずエースをねらってくる。ナダルのエースはすごい。相手は、ラケットにボールを当てるどころか、ボールのそばまでよることもできずにエースをとられる。トップ選手ですら、ナダルが(特にフォアハンドで)エースを取る時には、もう何もすることができない。

ボールを追いかけ、スライディングしながらボールをヒットして、しかも相手は3mも離れているところにボールがバウンドしてノータッチエースを取る。これは、まさに全仏仕様のテニスだ。

一方で、ナダルは相手にボールを打たれるところにも強烈なショットを放つ。相手に向けて強く打つわけだ。相手が、そのボールでエースを取ることができないことを知っているからだ。これは、ボールのパワーだけの話ではない。ナダルの戦略だ。相手を走らせるのではなく、自分のボールの力で返ってきた次のボールで仕留めるというやはりナダルの全仏仕様の戦略だ。

ジョコビッチの戦い方は、もっと「まとも」だ。まともというのは、つまり、定石に従っているということだ。例えば、ナダルが打ったボールが浅い場合、ジョコビッチは、相手が2歩動く場所に強くボールを打って、ネットに出る。決して、ラインぎりぎりは狙わない。しかし、相手が動かずに打てるところも狙わない。

これは、一般的な攻撃だ。一般的というのはどういう事か。それは、どのようなサーフェスでも使える戦略ということだ。

ナダルとジョコビッチの決勝戦は、分かりやすく言えば、こういうことなのだ。ナダルは赤土のコート専用の戦い方をした。ジョコビッチは万能なテニスの戦い方をした。

ナダルは、絶好調だった2010年の後、2011年以降はグランドスラム大会では全仏オープンでしか優勝していない。ナダルにとって最も大切なのは、全仏オープンの王者の位置を守ること。その次が、その他の大会での優勝なのだ。

一方のラインキング1位に君臨するジョコビッチは、すべての大会で優勝を狙う立場にいる。これから歴史に名を残すジョコビッチにとっては、全仏オープンだけを特別扱いできない。生涯グランドスラムであとは全仏オープンだけを残すジョコビッチが、しかし、テニススタイルを全仏オープン仕様に変えないことに、私は敬意を表したい。(もちろん、全仏オープン向けのトレーニングと戦略はあるだろうが、他の大会での結果を犠牲にしたりはしていない。)ジョコビッチも、2011年以降は全豪オープンでしか優勝していないが、ジョコビッチはどの大会でも優勝を狙っているように見える。

賭けてもよいが、おそらく、もう、ナダルはウィンブルドンを取ることはない。これほどまでにクレーコート用に完成したテニスを、どうすれば芝のコート用にチューニングすることができるだろうか。ましてや、どうすればハードコート用にチューニングできるだろうか。ナダルが再び怪我をするとしたら、ハードコートであろう。今のプレースタイルを、無理にハードコートにチューニングしようとしたときに、ナダルの選手声明に影響があるほどの怪我が心配だ。

ナダルの全仏オープンは、もう誰にも止めることはできないのかもしれない。生涯グランドスラムを狙うジョコビッチは、しかし、決して全仏オープン専用のプレースタイルを磨いてほしくはない。ジョコビッチは、フェデラーに続く真のオールランドプレーヤーを目指してほしい。かつて、「残りのすべてのグランドスラムの優勝と取り換えてでもウィンブルドンの優勝カップがほしい」と言ったイワン・レンドルの、あのみじめな姿をジョコビッチには見せてほしくないのだ。

→2013全仏オープン男子決勝 ナダルのプレーを見て思ったこと
→2012全仏オープン男子決勝 短いコメント

Mecir's Tennis (164) 何とも厄介なフォアハンドだ①

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メシールのフォアハンドは、本当にコピーするには厄介な打法だなぁ。そう、つくづく思います。

レディーポジションから、ステップワーク、テイクバック、フォワードスイング、フォロースルーと、すべてをコピーしてもまだ足りないのです。では、何が足りないのか。

それは、スイングする腕に力を入れるタイミングです。

一般的なウェスタングリップの場合、体と腕が同時に回転し、フォワードスイングします。したがって、その回転のタイミングで腕に力を入れます。言い換えると、腕に力を入れてボールを打ちにいことができるわけです。ウェスタングリップのインパクトはイースタングリップと比べて後ろですから、飛んできたボールに向かって体の回転と腕のスイングでボールを叩きにいくことができます。

メシールのフォアハンドでは(イースタングリップフォアハンドでは)は、それができません。フォワードスイングでは、腕に力を入れてはいけないのです。では、どのタイミングで腕に力を入れるのか。

フォワードスイングは、右足→骨盤回転(腰の回転)→肩の回転と伝わっていき、腕も回転します。しかし、まだ、腕には力を入れません。そして、ボールをラケットがヒットする少し前に、初めて腕に力を入れます。そして、そのギリギリのタイミングで入った力でボールを打つ(運ぶ)のです。

体の回転の時に腕にも力を入れ始めることができれば、どれほどスイングはシンプルでしょうか。しかし、メシールフォアハンドでそれをすると、必ずラケット面が狂います。ほんの少しの力の加減を間違えるだけでボールは全く制御不能になります。

また、フォワードスイングの前半から腕に力を入れると、ラケット面が開きます。(グリップが薄いから。)これも、コントロールを狂わせます。全く、イースタングリップというのは厄介な代物なのです。

フォワードスイング(の前半)で腕に力が入らない(足と骨盤と肩の回転でフォワードスイングをする)ため、ラケットスイングのスピードはそれほど出ません。メシールのフォアハンドが「ラケットスイングがゆっくりに見える」と言われるのはそのためです。

足と、骨盤と、肩にお膳立てをしてもらった腕はインパクトの直前からボールを打ち始めます。そして思った方向にボールを打ち出します。だから、メシールのフォアハンドは、ボールを運ぶように見えるのです。「ラケット面に、他のプレーヤーと比べるとほんの少し長くボールが乗っているような気がする」と言われる理由も、ここから来ています。

腕の仕事はスタートが遅い分、仕事の終わりも遅くなります。ボールをヒットしても、まだ、腕の仕事は終わりません。力を入れたばかりの腕は、ボールをヒットした後、大きくフォロースルーを取ることになります。インパクト直前に力が入ったばかりなのに大きくフォロースルーが取れないということは、逆にできないはずです。

この、インパクト直前から腕に力を入れるという感覚が難しい。感覚をつかむための練習が必要です。特に、振り遅れには注意せねばなりません。決して振り遅れてはなりません。振り遅れてしまっても、腕の力でスイングを挽回することができないのですから。ゆっくり打つことは早く動くことです。

スイングの際、左腕がスイングを止める作用をしてはなりません。大きくフォロースルーを取ることができるように、左肩がしっかりと時計と反対方向に回っていかねばなりません(右利きの場合)。コントロールが微妙なイースタングリップでは、ややもすると、左肩を止めて、ボールを置きに行くような打ち方になってしまいます。それではだめです。大きなフォローするに合わせて左肩も大きく回っていくのです。

私の印象では、このような力の入れ方を身につけるには、本当に練習が必要です。上に書いたように、練習が必要です。フォワードスイングで腕に力を入れず、インパクト直前で初めて力を入れることをゲームで実際に行うには、勇気がいります。練習で、十分にその感覚を身に着けることが、何よりも大切です。

→全仏オープン2012男子決勝(短いコメント)

全仏オープン2013男子決勝 ナダルのプレーを見て思ったこと

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大方の予想通り、ナダルが優勝しました。事実上の決勝が終わっていたのだから、フェレールには厳しい書き方ですが、私の興味は勝敗にはありませんでした。

テレビをつけっぱなしにしながら、チラチラとみていた時に、頻繁に出てくるナダルのスローモーションを見て、ふと思ったのです。

ナダルのフォアハンドやサービスは、利き腕と反対の腕(ナダルの場合は左利きなので右腕)が体の前に残っているのです。つまり、ナダルのプレーでは、体は最後まで回転せず、逆に右腕が体の回転がブロックされているわけです。

写真ではわかりにくいのですが、ナダルのサーブやフォアハンドでは、右手の位置がずっとこの(下の写真の)場所にあります。つまり写真の右手の位置は、取った瞬間の位置ではなく、ずっとここにあるのです。言い換えると、スイングは左肩・左腕だけで行われているのです。



これは、現代テニスでは、当たり前なのでしょうか。メシールを追いかけている私は、最近のテニス技術はあまりよく分かりません。が、こんな形で体の回転を止めるのは、現代テニスの教科書には載っていないのではないでしょうか。

どなたか、技術に詳しい方に、是非、解説をしてもらいたいと思いました。

とにもかくにも、ナダルの8回目の全仏オープン優勝は素晴らしいです。すごいです。今、ナダルの優勝インタビューを聞きながら書いています。おめでとう、ナダル。

→全仏オープン2013男子準決勝 ナダル-ジョコビッチ:ナダルの払った代償とジョコビッチの未来
→全仏オープン2012男子決勝 短いコメント

Mecir's Tennis (165) 何とも厄介なフォアハンドだ②

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何とも厄介なフォアハンドだ①で書いた、何とも厄介なメシールのフォアハンド。ポイントは、腕に力を入れるのはインパクト直前だという事でした。そして、その感覚を身に着けることが大切だと書きました。

どうすれば、この、奇妙で優しくはないインパクト直前の力の入れ方をマスターできるでしょうか。

これは「感覚」なので言葉にするのは難しいですし、また身に着け方は人によると思います。私の考える感覚をまとめてみようと思います。

一番近いのは、自分の中ではフォワードスイングがインパクト直前からスタートするというものです。この感覚(イメージ)は、おそらくこれまでにテニスで培ってきた感覚をかなり変えることになると思います。フォワードスイングの前半は、まだ、スイングではないのです。スイングの準備でしかない。スイングそのものは、インパクト直前からスタートします。

スイングが始まったらすぐにインパクトですから、修正は効きません。スイングの準備のところで、ステップワークが正しくなかったり、右足がボールに向かってしっかりと踏み込まれていなかったり、骨盤が回転していなかったり、肩が(えもんかけのように)回っていなかったり、左ひじがボールを指してさらに左側に(反時計方向に)体の回転を引っ張っていなかったり、そしてなによりもそれらが原因でラケット面が違う方向を向いていたら…、スイングはできないという事です。スイングがスタートできるには、すべてそろっていなくてはならないのです。

感覚的には(まさに感覚の話を書いているのですからあたりまでですが)、感覚的にはゆっくりとフォワードスイングをしながら、スイングのスタートを探ります。よし、ボールを打つぞ!と思ったところから始めて腕に力を入れてスイングを開始するのです。

相手のボールのスピード、高さ、回転のタイプに関係なく、この感覚は同じです。
下がってボールを打つ場合にも、右には知らされてボールを打つ場合にも、この感覚は同じです。

スイングがボールを捉えるその直前。その瞬間からスイングを始めるというイメージです。

→何とも厄介なフォアハンドだ①
→何とも厄介なフォアハンドだ③

Mecir's Tennis (166) 何とも厄介なフォアハンドだ③

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何とも厄介なフォアハンドだ①と、そのあとに書いた何とも厄介なフォアハンドだ②で、メシールの(ようなイースタングリップの)フォアハンドでは、腕に力を入れるタイミングが難しいと書きました。そしてそのタイミングは、フォワードスイングの開始時ではなく、インパクト直前だと書きました。

しかし、実際には、インパクト直前に腕の力を入れるというは、かなり微妙で難しい技です。ちょっと、ゲーム中に実現するのは容易ではなさそうです。

そこで、良い方法があります。それは、腕に力を入れるのをあきらめて、背筋でボールを打つのです。背筋は腕とつながっているために、背筋に力を入れることで腕の振りを強くすることができます。これは、腕と直結していない骨盤や足ではできない技です。

ボールをヒットする直前に背筋に力を入れることで、腕に間接的に力が伝わる。場合によっては、フォワードスイングの最初から背筋に力を入れることもできます。(例えば、相手のボールが速くて十分なテイクバックを取る時間がない場合など。)

Mecir's Tennis (167) 「遊び」のないハンドルは危険:膝の使い方は二通り

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車を運転する人であれば分かる通り、自動車のハンドルには「遊び」があります。この「遊び」は運転にとってとても大切な機能です。もし、ハンドルに「遊び」がなければ、運転はとても危険なものになるでしょう。ハンドルを切った瞬間に、車はそちらの方向にすぐに動き出すでしょう。

この遊びは、ある意味では機械らしくない機能のように思えます。入力に対して正確な出力をするのが機械の特質だとすれば、遊びの部分は「機械らしくない」あいまいさがあるからです。

人間が機械を操る時には、この機械らしくない部分が人間と機械を結びつける役割を果たすのです。

テニスについて考えてみると、人間はあいまいです。完全なスイングで、完全なフォームでボールを打つことはできません。したがって、その都度微妙に異なるスイングを吸収して、よい結果(つまり、一定の範囲内の結果を)生み出すためには、人間には遊びが必要なのです。遊びが、人間のあいまいさの部分を吸収してくれるのです。

グランドストロークにおける遊びは、どこにあるでしょうか。それは膝です。膝を柔らかく使うという事は、言い換えれば、そのあいまいさを吸収してくれる機能を活用しているという事になります。

遊びは遊びでしかないので、遊びの機能は主機能ではありません。主機能のあいまいさを受け入れる機能でしかありません。

膝も同じです。膝を使うというのは、遊びの機能としては正しくありません。膝は、遊び、つまり余裕として使うものなのです。

一方で、膝にはもう一つの機能があります。それは、フォワードスイングを開始する機能です。何度も書いている通り、そして世の中でよく言われている通り、スイングは膝(足)から始まります。膝をしっかりと折り込んで、体の回転をスタートします。

この事は、サーブなどでも同じです。サーブでは、駆動力としての膝の使い方がメインとなります。サーブの場合は、自分でボールをトスアップするので、グランドストロークほどあいまいさがないためです。それでも、膝の遊び(クッション)が、トスアップの微妙なずれを吸収してくれることは間違いありません。

つまり、膝には、エンジンの機能と遊びの機能の、異なる二つの機能が求められるのです。これが、話をややこしくします。もちろん、それら二つは厳密に区別する必要はなく、両者を同時に使えばよいだけのことです。しかし、膝には仕事が二つある(特に遊びの機能を忘れやすい)ことは覚えておく必要があります。

練習ではうまく打てるのに、試合になると思うようにボールが打てないことがよくあります。これは、おそらく、スイングには問題がないのです。(練習ではうまく打てているから。)ゲームでは、ミスができない緊張感などから、完全を目指すあまり、微妙なずれに対応できないことがあります。つまり、遊びが足りないのです。膝を遊びに使うことで、うまくいくことがあります。

Mecir's Tennis (168) 困った時の逆クロス

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「遊び」のないハンドルは危険:膝の使い方は二通りでは、練習ではスムーズに打てているフォアハンドがゲームでは打てなくなることがあると書きました。

多くのイースタングリッププレーヤーは、おそらく同じことで悩んだことがあるでしょう。ゲームでは、フォアハンドイップスになることがあります。

ゲーム中になるイップスには、なかなかよい特効薬はありません。ついつい、フォアハンドスライスで逃げたくなりますが、一度スライスをフォアハンドで打ってしまったら、そのゲームではフォアハンドはスライスしか打てなくなってしまいます。

そういうケースを(自分のプレーで)調べてみると、比較的多いのは打点が体に近くなってしまっている場合です。一度でもミスをすると、怖いのでついついボールに近づいてしまいます。そうすると、ますますボールが打てなくなり、その結果ボールに近づいてしまい…という悪循環です。

フォアハンドのアプローチショットなどで、その傾向はすぐにわかります。ボールの飛球線に対して左側に体を持ってこなくてはいけないのに、ついボールの後ろ(飛球線上)近くに体を持ってきてしまうのです。

結局、体とボールが近すぎると、フォロースルーで腕が伸びません。

そういう場合に役に立つ(ことがある)のが、とにかくフォアハンドを逆クロスに打つことです。逆クロスに打つためには、どうしてもボールに対して回り込むことになりますので、自然と、ボールと体の距離を取ることができます。右足を踏み込む(12時よりも1時や2時方向)ために、ボールとの距離を取ることも怖くありません。逆クロスにボールを運ぶためには、そちらの方に腕を伸ばさざるを得ないので、フォロースルーで自然に腕が伸びてくれます。

万能薬ではないのですが、ゲーム中に試す価値はあると思います。


Mecir's Tennis (169) フラットドライブ系とスピン系の使い分け(イースタンフォアハンドグリップ)

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イースタングリップ(薄いグリップ)の有利な点の一つは、薄いグリップでもスピン系のボールを打つことができるという事です。イースタングリップではスピンボールが打てないと思われがちですが、そんなことはありません。(もちろん、ウエスタングリップのようなヘビースピンは無理ですが。)

フラットドライブ系とスピン系の使い分けは、イースタングリップの武器になりますので、身に着けておくと有利になります。

まず大切なことは、フラットドライブ系とスピン系でグリップを換えてはいけません。あくまで、イースタングリップで打ち分けるという事です。

打ち分け方は比較的簡単です。フラットドライブ系ではボールを押し出すように打ちますが、スピン系では下から上にボールをこすり上げるように打ちます。スピン系では、できればレディーポジションからラケット面を伏せておくと打ちやすくなります。ただし、レディーポジションで麺を伏せることができるのは、最初からスピン系で打とうと考えている場合だけです。一般には、テイクバックのタイミングでラケット面を伏せることになります。また、テイクバックでは、スピン系の場合は、ラケットがやや下に降りるイメージです。逆にフラットドライブ系の方はやや横にラケットを引くイメージです。

このような打法の使い分けは、大切です。間違えると、ボールをコントロールすることができません。

スピン系の時には、ラケットを速く振ります。力加減は不要です。ボールを打つ力加減が不要ですので、ラケットコントロールがしにくい場合には、スピン系が有効です。つなぎのボールで逃げたいとき、トップスピンログ、走らされて打つ場合、アプローチショット、相手のボールが緩い場合などではスピン系ボールを主体にするとよいと思います。スピンボールでは、ラケットをゆっくり振ってしまうと、ラケット面が下を向いていますので、多くの場合にボールはネットしてしまいます。フラットドライブの時の癖でボールを押し出すように打ったり、ラケットを横に振ってはいけません。

一方、フラットドライブ系の時には、ボールを押し出すように打ちます。その分、ボールコントロールがしやすくなります。相手のボールが速い場合や、コーナーやダウンザラインを狙う場合に有効です。イースタングリッププレーヤーが相手のボールが速い場合にスピン系で打つと、ボールコントロールを大きく失う可能性があります。逆に、相手のボールが速い場合にはその力を利用できるフラットドライブ系は有利です。ラケットはややゆっくり目に、ボールを押し出すように打ちます。

両者の中間的な打ち方が有効なのが、相手のボールがバウンドが低く速い時です。フラットドライブで打つとボールがネットを超えてそのままバックアウトする可能性があります。逆に、スピン系で打つと(相手のボールが速い場合には)スピンがかかりにくくネットしてしまうことがあります。(イースタングリップのスピンボールは、一般にはヘビースピンにはなりません。)このような場合には、両者の中間をとり、ややゆっくり目に、しかしスピンをかけた打ち方が有効です。ヘビースピンでネットを超えたところでボールが落ちるようなことはありませんが、コントロールしやすいためにボールを想ったところに運びやすいという利点があります。
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