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Channel: ミロスラフ・メシールのテニス Miloslav Mecir's Tennis
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Mecir's Tennis (135) テイクバックでは肩を支点に腕を動かす

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フォアハンド、バックハンドともに、テイクバックでは腕ではなく体を回転します。もう少し正確に書くと、骨盤をフォア方向(またはバック方向)に回転します。上体はそれについていくことで回転します。

では、その際に、腕はどうすればよいでしょうか。もちろん、テイクバック後半では、腕はボールの高さなどに合わせて動かします。しかし、テイクバック始動時はどうでしょうか。

ひとつの考え方は、テイクバック始動時は腕を固定して、体と一緒に回転するという方法です。しかし、それは、逆に言うと腕を固定することになり、柔軟性に欠けます。「なんか窮屈なスイングだなあ」というプレーヤーが時々いますが、あんな感じになります。メシールのテニスは、むしろ、「どちらかというとぐにゃぐにゃしていて、柔軟性に富んでいる」スタイルです。

一方で、メシールはむやみに腕を動かしません。無駄の少ないフォームです。では、どうすればメシールのように、無駄なく、しかし柔軟なフォームを身に着けれるのでしょうか。

ここで、腕の柔軟性は失わず、しかし腕を使わない方法があります。

それは、肩を支点にして腕を動かす方法です。腕(とくに肘)は曲げたりはしませんが、肩を中心に必要なだけ腕を回す(動かすのではなく)のです。打点が高い場合も、テイクバックの途中(とくに前半)で腕を上にあげてはいけません。ボールの高さに対してアジャスト(調整)するのは、テイクバック後半か、またはフォワードスイング前半です。

この方法は、テイクバックで腕に力が入らない利点がありますが、一方で、ラケットとボールの距離の調整はやや難しくなります。また、テイクバックやフォワードスイングのタイミングは、腕でとることは100%できなくなります。(腕には力を入れないため。)

しかし、スイングの安定性は向上するはずです。下半身、とくに骨盤の働きはますます重要になります。

Mecir's Tennis (136) ボレーの打ち方(シングルス限定)

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今回は、メシールのテニスではなく、自分の経験を書きます。シングルスでのボレーについてです。

最近は、ボレーやサーブでは薄いグリップ(コンチネンタルかバックハンドイースタン)が徹底されているからか、昔(20年ぐらい前)よりもサーブやボレーの技術は、アマチュアでも高くなっているように思います。

薄いグリップを身に着けてしまうと、特にボレーでは、後はラケット面をきちんと作れるかでローボレーが打てるかどうかが決まります。(というよりも、薄いグリップでないと、ローボレーは絶対に打てないのです。)

私は、他のショットに比べると、ボレーはあまり不得意でありません。(と思っていました。)それは、若いころに徹底して薄いグリップを覚えたからだと思います。例えば、球出し練習やボレーストローク練習では、ボレーについてはあまり苦にならず、比較的問題なくボールを打ち返すことができていました。

しかし、ゲーム(試合)になると、驚くほどにボレーをミスします。ボールが飛んできても、練習の時のようにボレーすることができないのです。フォアハンドも、バックハンドも。

しかも、この傾向は、シングルスゲームのときのみであらわれるのです。ダブルスでは、問題なく(あくまで私のレベルでの問題なさですが)ボレーができます。シングするゲームだと、とたんに、半分以上のボレーをミスするか、ミスショットします。

「シングルスでだけボレーが上手くいかない。」こういう人は、私だけではなく、案外、多いのではないでしょうか。

その理由を考えてみました。そして、それが、上半身や腕ではなく、下半身にあることが分かってきました。具体的には、足への体重のかけ方によるものだと考えています。


ボレーを打つ時に、自分のどちらの足に体重がかかっているか。これを意識することが大切です。例えば、ロングボレー(ネットから離れた位置)では軸足側に体重がかかった状態でボールを打つことが多くあります。(または、打った後に体重を右足に移動します。)

シングルスは、ダブルスと違い、守る範囲が広くなります。その分、バランスは崩れやすく、また、ラケットが届かないボールも出てきます。相手のボールのバリエーションが多いのです。そのためには、ボールをヒットする前に、自分の体重がどの足にかかっているかを意識することは有効です。体重がかかっている足を意識することにより、無意識に体のバランスを整え、相手のボールに対する間合いを取ることができるようになってきたのです。

これらの技術のさらに詳しい内容は、例えば、次などで紹介されています。

  • 勝者のフットワーク塾 ボレー編(こちら
  • 藤野俊幸のテニス楽 実践マガジン vol.39  相手の強打を跳ね返せ! ボレー支える足と運ぶ足・止める足(こちら

Mecir's Tennis (137) 骨盤の仕事・サーブ編

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最近の多くのスポーツでは、自分の体を有効に使うためには、次の3つの働きが大切だと言われています。
  • 骨盤
  • 体幹
  • 肩甲骨
これは、テニスでも同じです。最近、いろいろなところで、テニスにおいてこの3つが大切だということが言われています。(動きながらボールを打つという、比較的複雑な動きが要求されるテニスでは、特に、このように動きと力の軸となる働きは大切です。)

これはサーブでも同じです。サーブのパワーは、骨盤の回転からもらうのが有効です。

サーブのトスアップで骨盤を使いはじめたトッププレーヤーは、おそらくアンドレ・アガシではないかと思います。


写真を見ても、しっかりと骨盤を回してパワーをため込んでいます。(この後、フォワードスイングで骨盤を戻すことでスイングしているのはもちろんです。)

Mecir's Tennis (138) 「方法」と「結果」の違いを意識すること

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どのようなスポーツでもそうですが、「このように体を使うべし」というセオリーが示されることがよくあります。アマチュアプレーヤーは、いつも、「どうやって体を使えばこのショットが打てるようになるのだろうか」という情報を求めています。

実際、このブログでも、メシールのプレーする映像を参考に、いろいろなセオリーを書いています。

が、スポーツのセオリーで勘違いしやすいことの一つが、多くのセオリーは「結果」を述べているのであって、「方法」について書いているわけではないということです。この違いを理解しないと、「練習はしているのになかなか上達に結びつかない!」ということになりがちです。

このブログでは、私は「脳内イメージ」という言葉をよく使います。これは、「結果」と「方法」が異なることがあることを知っているからです。

例えば、メシールのフォアハンドでは、テイクバックでラケットヘッドは5時の方向を向きます。こちらの画像を見ても、すべてのショットでラケットヘッドが5時方向を向いています。

しかし、これは「結果」です。大切なのは、この「結果」になるために、どんな「方法」があるかを考える(意識する)ことです。つまり、「脳内イメージ」というのは、まさにこの「方法」であるわけです。

「方法」は「結果」ではありません。しかし、いろいろな読み物では、例えばトッププロの写真を掲載して、その「結果」を解説します。読者は、それを読んで、何となくわかったような気がします。自分でもできるような気がします。

しかし、実は、どうすればその「結果」を実現できるのかという「方法」については、必ずしも説明されているわけではありません。「結果」を分析や解説しても、そこに至るための「方法」がわからなければ、結果を得ることができないのです。


このように「結果」と(それを実現するための)「方法」を区別して考え、よい「方法」によってよい「結果」を得るということは、意外に見落とされている点だと思います。

さらに大切なことがあります。

見る⇒走る⇒打つというように連続動作で一つのプレーが構築される(複雑な)テニスというスポーツでは、ある「結果」が次の「方法」になることもあります。

例えば、よいサーブを打つための方法として「内転が大切だ」ということが一般に言われています。確かに内転はよいサーブを打つという「結果(=目標)」ための「方法」です。

しかし、内転を実現する方法がわからない人にとっては、今度は、その内転が結果(=目標)になります。その場合には、内転を(「結果」として)実現するための「方法」が必要になります。どのような脳内イメージ(つまり「方法」)で内転という「結果」を得るのか。その説明がない限り、いくら「よいサーブを打つ(「結果」)のためには内転(「方法」)が必要です」と説明して、内転しているサーブの写真を掲載しても、意味がないのです。

Mecir's Tennis (139) プレー中に「ストロークでは膝をしっかり曲げる」ことを意識するのは間違い(前編)

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タイトルには、 「ストロークでは膝をしっかり曲げることを意識する」ことは間違いだと書きましたが、より正確に書くと次のようになります。

「ストロークでは膝をしっかり曲げる」「ストロークでは下半身を安定させる」などとよく言います。膝を曲げること自身は、間違いではありません。ただし、プレーヤーは、プレー中に膝を曲げることを意識(=目標に)してはなりません。

今回は、このことについて考えていこうと思います。

例えばミロスラフ・メシール(メチール)は、現役当時、「腰が低い」「膝をしっかり曲げている」と評されるプレーヤーの一人でした。それがメシールの安定したストロークを支えているとよく言われていました。

一方で、(世界のトッププロと比較するのも変ですが)公営コートのアマチュアプレーヤーで「膝はよく曲がっているのだけれども、それがフットワークを逆に阻害している(動きが鈍いとかボールが安定しない)」というケースがあります。(実際には、膝が曲がっていないアマチュアプレーヤーの方がはるかに多いのですが。)

私も、昔は、プレー中に「よし、膝をしっかり曲げてストロークを打つぞ!」と意識することがありました。結果は、ほとんどの場合、動きは鈍くなり、スイングは振り遅れ、ボールは逆に不安定になり、ストロークは乱れます。

この二つの違いはなんでしょうか。同じ、「膝がよく曲がっている」にもかかわらず、評価は正反対です。

そのヒントは、次にあると思います。「メシールのショットには膝が十分に曲がっていないショットや、腰が十分に落ちていないショットがある。(上記の)アマチュアプレーヤーは、いつも、どんなボールに対しても膝が曲がっている。」

つまり、「いつも膝が曲がっている」ことは、実はよいことではないのです。いえ、はっきりと「間違いです」と言いきってもよいと思います。

なぜなら、膝がいつも曲がっているアマチュアプレーヤーは、膝を曲げることを目標にしているからです。膝を曲げれば確実に良いボールが打てるのであればよいのですが、実際には、膝を曲げることは方法の一つ(一部)でしかありません。

実際には、ボールをしっかり見る、テイクバックを早く…など、すべきことはいくつもあります。上記のアマチュアプレーヤーは、それを捨てて「膝を曲げる」ことを優先しているのです。(だから、どんな場合にでもしっかりとひざが曲がるわけです。)

ある目標(結果)を達成するためには、多くの場合、複数の方法を組み合わせます。膝を曲げること以外にもボールを見る、テイクバックを早くなど、いくつもの「方法」を組み合わせて初めて目標が達成されます。大切なことは、目標を達成することであり、特定の方法を実現することではありません。場合によっては、ある方法はあきらめて、BESTではない、BETTERな結果、またはGOODな結果を得ることも大切です。

いつも100点は理想的ですが、時には60点を取ってでも決して赤点を取らないことがスポーツでは大切なのです。特に、ミスするとポイントを失うテニスでは、赤点は致命的です。赤点を取るぐらいなら、60点でも構わないというのがテニスです。


さて、グランドストロークの目標とはなんでしょうか?私の場合、プレー中(グラウンドストローク)の意識を次の一点に置いています。
  • どんなボールでもフォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと
これが、図に示した私の目標(つまり求める結果)です。方法ではありません。

プレーヤーは、すべての「方法」を意識しながらプレーすることはできません。「膝を曲げて」「ボールをよく見て」「テイクバックを早く」…などとすべてをチェックしていては、ボールは目の前を通り過ぎて行ってしまうでしょう。

プレーヤーがゲーム中に意識できるのは、目標(結果)だけです。そして、目標を意識したときにすべての方法が実現できるように普段から練習をするのです。練習では、「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」ができなかったら、その理由を確認し、修正をします。
  • ボールをしっかりと打とうとすると、自然に膝を曲げることになります。(そうしないと打球が不安定になるため。)
  • ボールをしっかり打とうとすると、自然にテイクバックが早くなります。(そうしないとラケットをしっかり振ることができなくなるため。)
  • ボールをしっかり打とうとすると、自然にボールをよく見るようになります。(そうしないと、スイートスポットでボールを捕えることができないため。)
これでわかると思うのですが、膝を曲げるとか、ボールを見るなどは、スイングの一つの技術(方法)です。そして、我々が見つけるべきは、プレー中に意識すべき目標の方なのです。

別の言い方をすると、すべての「方法」が集約されるような「目標」を設定することが重要です。

ゲーム中に「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」ができなかった時、方法のうちのどれかに原因があるはずです。その理由を、ポイントとポイントのインターバルに確認することは有効です。しかし、ポイントに入ったら、その方法を目標にしてはいけません。その(まずかったと分かっている)方法を意識しながら、しかし本来の目標に向かってプレーするのです。

最後に、繰り返しになりますが、方法と目標(結果)を混乱してはなりません。特定の方法に固執してはなりません。(例えば膝を落とすことだけを重視してはなりません。)すべての方法が達成できなくても、目標はBETTERやGOODとして達成できるからです。テイクバックが遅れても、ボールを見ることができなくても、膝が曲がっていなくても、「フォロースルーを大きくとってボールをしっかりと打つこと」はできます。100点満点ではなくても、60点でも合格はするのです。

これが、Mecir's Tennis (138)に書いた、「方法」と「結果(=目標)」の違いです。

Mecir's Tennis (140) なぜ腰を落とすのか?

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腰を落としなさい。膝を曲げなさい。そんな風に言われます。でも、誰も、なぜ腰を落とすのかを説明してくれません。

腰を落とすほうが安定するから?本当でしょうか。私の経験では、腰を落としていると、逆に動きづらいです。人は、歩くときに、腰を落としては歩きません。その方が動きづらい(下半身が疲れる)からです。

また、腰を落とすといっても、どこまで腰を落とすのでしょうか?蜘蛛のようにべたっと地面につくほど足を広げる人はいないでしょう。「何となく、腰を落としていると自分が思う程度に腰を落とす」という感覚的なイメージの人がほとんどではないかと思います。

では、なぜ腰を落とす(膝を曲げる)のか?

答えは簡単です。ボールをヒットするときには、必ず、腰を落としてボールを打つからです。ボールを打てばわかりますが、逆に、腰を落とさずにボールを打つのは難しいです。ほとんど、上半身の力だけでボールを打つことになります。骨盤を使うこともできません。

骨盤を使って(骨盤を回転させて)ボールを打とうとしてみればわかりますが、膝が曲がっていなくては骨盤を回転させることができません。

そう考えると、もう一つの答えは容易に見つかります。どの程度まで腰を落とす(膝を曲げる)のか。自分がボールをヒットするときに腰を落とす程度がその目安になります。

そう思って、レディーポジションで腰を落として構えてみてください。そして、ボールが飛んできたら、その状態(腰の高さ)を維持してステップしてみてください。で、その腰の高さのままでボールを打ってみてください。

どれほど楽にボールを打つことができるか、すぐにわかると思います。何しろ、レディーポジションですでにボールを打つ体勢になっているようなものです。もし、腰を落としていない場合には、ボールの場所までステップして行ってから、改めて腰を落とさなくてはなりません。そこには上下動が発生します。1球なら良いですが、2球、3球…とラリーが続くと、それによる負担の大きさがはっきりわかってきます。

腰を落としてステップするのは、腰を落とさないよりも疲れます。しかし、腰を落とさずにステップして行き、ボールに合わせて腰を落とす作業を(ラリーが続くことで)繰り返す方が、腰を落としたままステップするよりもはるかに負担が大きいことがわかります。しかも、前者は後者よりも安定性に欠けます。というよりも、腰を落として上下動がない状態でストロークをする方が安定します。

地面に近い低いボールを打つ場合は例外ですが、そうではない場合には、多くのプレーヤーは膝が地面につくほどまで腰を落としません。腰を落としたままでステップすることは、そんなに負担は大きくない(しんどくない)はずです。

Mecir's Tennis (141) 遅いボールの場合のテイクバックのタイミング:やや上級編

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これまで、テイクバックはラケットを引くタイミングと同期させるということを書いてきました。具体的には、次の通りです。
  1. ボールがネットを超えて飛んでくるタイミングでラケットを引く。
  2. ボールがバウンドするタイミングでテイクバックからフォワードスイングに切り替える。
普通のスピードのボールに対してはこれでよいのですが、問題は「遅い球」です。または[高いバウンドの球」です。アプローチショットなども同じです。

これらの場合には、2でフォワードスイングを始めると、スイングが早すぎる(速すぎるではありません)ことになるのです。

この場合、もちろん、ラケットスイングを遅くすればその時間差を埋めることができるかもしれません。しかし、ポイントの中でスイングのスピードを調整するのは、かなり高度な技術です。多くの場合には、スイングが不安定になります。(グリップが薄めのフォアハンドストローカーには、ちょっとしたラケット面の誤差が命取りになります。)

薄いグリップのフォアハンドには、遅いボールは速いボールよりも打ちづらいのです。

では、どうすればよいか。それは、上の1と2のタイミングの取り方をやめて、骨盤でタイミングを取ることです。具体的には次のようになります。
  1. ボールがネットを超えて飛んでくるタイミングで骨盤をテイクバック側に回転させる(フォアハンドの場合は上から見て時計方向に回す)。
  2. ボールがバウンドするタイミングで骨盤をフォワードスイング側に回転させる。
つまり、今まではラケットでタイミングを取ってきたのを、骨盤(の回転)でタイミングを取るように切り替えます。

1については、実際には、骨盤の回転とラケットの回転は同期する(ややラケットの回転は骨盤の回転に追随する)ので、結局同じことになります。

2については、遅いボールの場合には、骨盤が先に回ることになります。が、ここで、ラケットは骨盤回転よりも後に出ていくことができます。このタイミングのずれは、上体(腕など)がコントロールできます。これにより、遅いボールでもラケットをしっかりと振ることができます。

もちろん、それよりもさらにスピードが遅いボール(本当にポーンと跳ね上がるようなボール)については、バウンドのタイミングで骨盤やラケットスイング(フォワードスイング)を開始するのをやめても構いません。この場合には、時間はたっぷりありますので、自分のタイミングで骨盤を回し、フォワードスイングをスタートさせてもよいでしょう。

骨盤でタイミングを取るのは、例えば、チャンスボールで浅い球をアプローチショットするときなどがに有効です。フォワード力は骨盤に任せて、ラケットはボールを強くかつ正確にとらえること(さらにしっかりと振り切ること)に専念できるのが魅力です。

Mecir's Tennis (142) アプローチショットではラケットを横に振る

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薄い(イースタン)グリップにとって厄介なのは、遅い球です。特に、緩い球を前に走りながら打つアプローチショットは、動きを伴うために不安定であり、かつ短い距離で強くヒットするために、ベースライン付近のグランドストロークよりも難しいといっても過言ではありません。

フォアもバックも、スライス系でアプローチショットを打つことはできても、ドライブ系のアプローチショットではネットするかバックアウトしてしまいます。

そこで、ボールコントロールしやすいスイングが必要になります。それが、横ふりのスイングです。ラケットを縦ではなく横に振ります。ラケットを、ネットに垂直ではなくに平行に振るイメージです。これにより、薄いグリップでも、強くラケットを振ることができ、ボールにスピン回転を与えやすくなります。また、ラケット面をやや下を向けることができるため、バックアウトの心配がなくなります。


三度(みたび)、ブラチスラバへ!(1)

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また、行ってきました。ミロスラフ・メシール(メチール)氏が住んでいる(はずです…(笑))の、スロバキアの首都・ブラチスラバです。

前回(こちら)同様に、また、ナショナルテニスセンター(NCT)に行ってきました。ブラチスラバには、「旧市街地」と言う美しい観光スポットがあるのですが、そちらに行かずにNTCに行く日本人は珍しいかもしれません(笑)。

今までは、きちんとした下調べをせずに訪問していたので、厳冬のブラチスラバを道が分からず行ったり来たりしてとてもつらかったのですが、今回はガイドマップ(地球の歩き方)を持っていったので、これまでの2回よりはスムーズに市内を移動できました。

冬の雪が降り積もっている時とは暖かさが違うので、それだけでもかなりの市内移動のしやすさでした。真冬のブラチスラバでは、バスを待つのもさむくて、寒くて…。

ブラチスラバ市内移動では、バスと路面電車(トラム)をうまく乗りこなすのがコツですが、市内も道が入り組んでいるために、前回、前々回はなかなか思うところに思うように移動ができませんでした。今回は、はじめから最短距離で移動しようとせずに、遠回りでもよいので本数が多い便(200番台のバスとか数字が一ケタのトラムとか)を選んで乗り継ぐことで、比較的スムーズに移動ができました。

前回も行ったNTCの中のスロバキアテニス協会のレストランを再訪したのですが、「テニスパブ(Tenis Pub)」と言うしゃれた(?)名前に変わっていました。レストランの中は、全く変わっていませんでしたが。なお、Tenisというのはスペルミスではなく、どうやらスロバキア語でテニスはTenisと書くようです。

この「テニスパブ」には前回同様、無料の無線LANサービスがあって、PCをインターネットにつなぐことができます。どうも、ブラチスラバ(スロバキア)には比較的あちらこちらに無料のワイヤレスネットワークがあるようです。ブラチスラバ中央駅でも、無料で接続ができました。長距離バスでも無料サービスがあると、Webで見ました。

テニス協会の前には、赤土のコートが10面ぐらいあります。冬の間はエアドームが並んでいましたが、今回(4月)は雪も解けきっており、ドームは全て取り外されていました。いくつかのコートは使えるようになっていましたが、他のコートはまだ整備中のようでした。スロバキアの春は遅いのでしょう。

「テニスパブ」にはテラスがあり、そこから10面のコートを見渡すことができます。私が行ったのは平日(月曜日)の午後だったこともあるのでしょうか、数名のジュニアの男女が練習をしていました。スロバキアビールを飲みながら、ぼんやりとその練習風景を見ているのは、なんとなくよい感じがしました。

Aegon Arena(エイゴンアリーナ)も前回訪れた雰囲気と全く変わらず、メインアリーナではバトミントンの選手が練習をしていました。

暖かくなってNTCはもう少し賑やかになっているかと思ったのですが、全体に、閑散とした感じがしたのは、スロバキアは2月のDavis Cup予選1回戦でウクライナに2-3で敗退しており、国内ではテニスの盛り上がりはいま一つなのかもしれません。

Mecir's Tennis (143) 正しいサーブを打つ「コツ」(1)

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メシールのテニスと言うわけではなく、サーブで薄いグリップで握るためのコツです。

正しいサービスフォームでは、テイクバックでラケットヘッドが落ちた時(この項では、ラケットヘッドが落ちたところを、サーブのテイクバックと呼ぶことにします)にラケット面(ボールを打つ側の面)はどちらを向いているでしょうか。正解は、背中側です。

ナダルのサーブの写真で見てわかると思います。このラケット面が背中と逆方向またはネットと逆方向を向くと、ボールにスピンをかけて打つことができなくなります。


他の写真でも、ラケット面の方向を確認してみてください。




このラケット面が、9時方向を向いたり、または6時方向を向いてしまうと、スピン系のサーブを打つことができません。実際、テニスコートで見てみると、うまくスピンサーブを打てない人の多くは、テイクバック(ラケットヘッドが下向きになった時)に、上の写真と全く反対にラケット面が向いていることが多いことに気が付きました。

実際、サーブで厚いグリップで握ると、ラケット面は上の写真とは正反対の方向を向くことが多くなります。いちばん極端な例は、いわゆる「おばさんサーブ」です。この場合、ラケット面は、ネットと正反対(6時方向)を向くはずです。

実は、グリップが薄い場合でも、テイクバックまでのスイングが間違えていると、このようにラケット面が外を向いてしまいます。

これはなぜ起こるのか。調べてみたのですが、ラケットを引く(テイクバックする)過程で、それは起こります。具体的には、ラケットを振り上げてラケットヘッドが落ちるまでに、ラケット面方向にテイクバックすると、テイクバック(=ラケットヘッドが落ちた時)でラケット面は開きます。
上の図は、テイクバックしているときにラケット面を開いています。これは、言い換えると、ラケット面方向にラケット引いています。


そうではなく、ラケットのフレーム方向にラケットを引いてテイクバックまで持っていかなくてはなりません。ラケットのフレームで「空手チョップ」のようにラケットを引くイメージです。

このようにラケット面を開かないでテイクバックをすることは、それができる人にとっては簡単なことなのですが、そうではない人にはなかなか難しいのです。ではどうすればできるようになるか。

別項(正しいサーブを打つ「コツ」(2))で紹介したいと思います。


Mecir's Tennis (144) キャリオカ・ステップの良いところ

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バックハンドスライスは、エースを取ることはあまりないショットですので、どちらかと言うとつなぎのショットです。攻めのショットにはなりにくいわけですから、バックハンドスライスを打つ際に最も大切なことの一つはミスをしないという事になります。

「安全に」と思って打ったつなぎのバックハンドスライスがネットすることがあります。攻めていたわけではないので、そのショックは大きいでしょう。これは、走らされて打った(あまり余裕のない)バックハンドスライスで時々、起こることです。

これをよく調べてみると、安全に打とうとするがあまり、背中が丸まってしまっていることがあるということに気が付きました。無意識に、エラーしないように背中を丸めてボールを「カット」しようとしているわけです。

他のショットも同様ですが、バックハンドスライスも、背中を伸ばして(上体を立てて)打たねばなりません。これは、『丁寧に打とう』と思う時に背中が曲がってしまうのとは正反対の、本能に逆行していることになるかもしれません。

そういう場合に効果的なのが、キャリオカ・ステップです。キャリオカ・ステップは、どちらかと言うとアプローチショットなどで使うステップワークですが、走らされて打つバックハンドスライスでも使うことができます。キャリオカ・ステップでは、背筋が自然に伸びますので、上のように背中を丸めてしまう心配がありません。

また、右肩が入り、右足が前に出るクローズドスタンスになりますので、コースも読まれにくくなるという利点があります。

バックハンドスライスが安定しない時には、あえてキャリオカ・ステップを使うのも一つの方法です。

Mecir's Tennis (145) ”ラケットセット”( レディーポジションとテイクバックの間にあるモノ)

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以前、プロとアマチュア(中) 自分自身のコーチになろうで書きましたが、私は、自分がプレーするときに、時々ビデオを撮ってそれを分析します。自分のプレーを第三者の目で見て、この点がよくない、ここを修正したほうがよいと「自分をコーチング」するわけです。

私の場合はメシールのテニスを目指しますので、自分のビデオとメシールのビデオを見比べます。その際に、いろいろな発見があります。

今まで、グランドストロークは、次のプロセスから構成されると思っていました。
  1. レディーポジション
  2. テイクバック
  3. (テイクバックトップ)
  4. フォワードスイング
  5. インパクト
  6. フォロースルー
しかし、実はメシールのグランドストロークには、1と2の間にもう一つプロセスがあることに気が付きました。今回は、この、レディーポジションとテイクバックの間にあるもう一つのプロセスについて書きます。

まず、レディーポジションとテイクバックの二つのステップを、ボールの位置がどこかと言う視点で区別すると、以下のようになります。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. テイクバック⇒相手のボールはネットを超えて自分のコートでバウンドする
これを見ればわかりますが、1と2の間には、ボールの視点からも抜けがあります。つまり、「相手のコートでボールがバウンドして、相手がボールを打ち、相手のボールがネットを超えてくる」間です。これは、上の1と2の間になります。

この間、プレーヤーは何をしているでしょうか。もちろん、スプリットステップがあります。さらに、ボールが飛んでくるにしたがって、ステップワークが入ります。

が、スプリットステップやステップワークは、主として下半身の仕事です。上半身は、この期間に何をするのでしょうか。

メシールの映像を見ていると、そこには、ラケットセットと呼ぶようなプロセスが入ります。そして、このラケットセットがとても大切です。

ラケットセットが何かを書く前に、正しいプロセスとその時のボールの位置をまとめてみます。分かりやすいように、スプリットステップも入れておきます。
  1. レディーポジション⇒自分の打ったボールがネットを超えて相手のコートでバウンドする
  2. スプリットステップ⇒相手コートでボールがバウンドし、相手がボールを打つ
  3. ステップワーク(下半身)+ラケットセット(上半身)⇒相手が打ったボールがネットに向いて飛んでくる
  4. テイクバック⇒相手のボールがネットを超えて自分のコートでバウンドする
  5. (テイクバックトップ)
  6. フォワードスイング
  7. インパクト
  8. フォロースルー
メシールのフォアハンドの連続写真で、ステップ1、ステップ3とステップ4を見てみましょう。


上の写真がステップ1(すなわちレディーポジション)です。この後に、スプリットステップ(ステップ2)が入ります。さて、大切なことは、これはラケットスイングのスタート地点ではないという事です。スイングは、ここから始まるのではなく、2のラケットセットからスタートします。


上の写真がステップ3のラケットセットです。これはスイングの途中ではなく、スイングの始まりです。スイングはここから始まります。


上の写真はステップ4のテイクバックです。2のラケットセットからラケットを後ろに引いています。つまり、スイングがスタートしています。

さて、スイングスタートをレディーポジションではなく、ラケットセットから始めるというのはどういう事でしょうか。ラケットセットの定義は、「そのままラケットを引く(骨盤を回す)とテイクバックを開始できるスタート地点」です。1のレディーポジションは正面を向いており、フォアサイド、バックサイドのどちらにボールが来ても対応できる体勢です。ここからでは、そのまま4には移動できません。

メシールのようなイースタングリップ(=薄めのグリップ)では、スイングの正確性が命です。スイングやラケット面の微妙なずれは、ボールコントロールを失うことに直結します。

そのためには、できるだけ、できるだけシンプルなスイングにしたいのです。ある状態から骨盤を回転させるだけ・ラケットを引くだけでテイクバックが完了することが理想です。そのある状態は、レディーポジションではありません。したがって、テイクバックの前に、ステップ3のラケットセットの状態が必要になるわけです。

ステップ2のスプリットステップが終わった後、よほどのランニングショットではない限り、ステップは5歩程度で完了します。これがステップ3のステップワークです。下半身がステップワークを完了した時に、上半身はどうなっているでしょうか。それが、ステップ3のラケットセットです。下半身がボールを打つ形を作った時に、上半身はテイクバックを開始できる場所にラケットをセットします。

ラケットセットは、「そのままラケットを引くことができる」という事ですので、ラケットヘッドはテイクバックの時の方向を向きます。フォアハンドでは、したがって、0時方向を向くはずです。(上のステップ3のメシールの写真を見てください。)ラケットヘッドは、決して11時方向、10時方向、9時方向を向くことはありません。一方、バックハンドではラケットヘッドは0時方向から9時方向の間のどこか(テイクバックをしやすい方向)を向くことになります。

ラケットセットは、3つ目のプロセスですが、カチッとしたプロセスではありません。ステップ2からステップ4への連続動作の一つになることもあります。実際、「今日はグランドストロークの調子が良いなあ」と思う時は、ステップ2とステップ4の間でラケットセットが自然にできていることがあります。

ステップ3は、むしろ、調子が悪い時にチェックしてみるのがよいかもしれません。例えば、フォアハンドで、ステップ1からそのままステップ4に移動しようとしていないか。つまり、ラケットヘッドが9時方向を向いているところから、そのままテイクバックを始めていないか。その場合には、メシールのテニス(グランドストローク)では決して安定したテイクバックを取ることはできていないはずです。

ラケットセットにより、ステップ4のテイクバックはスムーズで、そして正確になります。スイング(とくにテイクバック)に安定感が出ます。この安定したテイクバックは、実は、メシールにテニスでは極めて重要です。

ラケットセットと言うプロセスを入れることで、実は私のスイング(そして、メシールのテニスを目指す多くのプレーヤーのスイング)の安定性が向上することは、間違いないと思います。

Mecir's Tennis (146) 有効なグランドストローク練習(イースタングリップのフォアハンド)

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フォアハンドグリップが薄い(イースタングリップ)では、ボールのあたりが厚くなる傾向があります。厚いグリップのフォアハンドと比較すると、「面を作る」ことがより重要になります。言い換えると、ボールコントロールはラケット面を作ることで行います。(厚いグリップの場合は、ボールを強くたたくことでボールをコントロールする傾向になります。)

この結果、イースタングリップフォアハンドプレーヤーは、往々にして、次のような状態になります。

「ラケット面を作っていればボールをコントロールできるため、ラケットを振ることよりもラケット面をつくことに集中してしまう。」

よいラケット面ができているときは、イースタングリップの場合は厚い当たりのボールが比較的低い弾道でネットを超えていきます。しかも、弾道が低いためにボールが短くなりにくく、結果的には「厚い当たりの深い良い球」になってくれるのです。

しかし、このようなフォアハンドストロークには大きな落とし穴があります。一つ間違えると、ゲーム中にラケットをしっかり振り切ることができなくなることがあるのです。

これを防ぐためには、日ごろから、次のような(簡単な)練習をすることが有効です。

それは、通常の一対一のストロークをする際に、ネットの高いところ(ロブに近いぐらい高くても構いません)を通るグランドストローク(とくにフォアハンド)を打つ練習です。ボールの速度は必要ありません。ゆっくり(本当にゆっくり)のボールで構いません。ただし、ベースラインとサービスラインの間(できればベースラインから2m以内)にバウンドさせるのです。

イースタングリップでこのような高い弾道のボールを打つには、二つの方法があります。

一つは、ラケット面を上に向けてそちらに向けてボールを厚い当たりで打つ方法です。しかし、この場合、ボールの力加減は簡単ではありません。ボールが失速してサービスラインあたりでバウンドしたり、逆にベースラインを超えたりすることもあります。したがって、この方法はNGです。

もう一つは、(ヘビースピンではなくてよいので)ドライブ系のボールを打つことです。そのために、ゆっくりでよいので、ラケットを(大きく)振り切ることです。ラケットをしっかり振り切ることで、ボールには順回転がかかり、同時にボールをしっかりコントロールできます。

横から見ていると「なんというゆっくりの(気の抜けた?)グランドストロークだ」と見えるかもしれませんが、これがとても有効な練習なのです。

イースタングリップのフォアハンドで、このようなボールを打つには、いくつか満たすべき条件があります。これを、前者の方法(ラケット面を作る)と比較しながら書いてみます。

まず、ボールに対して正しいポジションにいないと、ラケットを振り切ってボールを打つことができません。(ラケット面を作るだけでボールを打つ場合には、比較的ルーズなポジショニングでもボールが返球できます。)

次に、飛んでくるボールに対して良いタイミングでボールを打たないと、うまくコントロールできません。(ラケット面を作ってボールを打ち返す場合には、ボールに対するタイミングも比較的ルーズでも大丈夫です。)

そして、当たり前ですが、スイングを大きく、最後まで振り切らねばなりません。(これも、ラケット面を作るだけであれば振り切りが小さくても大丈夫ですが、前述のとおりこの方法ではボールの距離感を作ることは簡単ではありません。)

したがって、イースタングリップのフォアハンドプレーヤーには、「ゆっくりとした高い軌道のボールでベースライン当たりに弾むボールを打つ練習」は、意外に難しく、同時にとても有効で、かつ重要なのです。

実際の試合では、どちらのタイプのスイングも必要とされます。相手のボールが低く、速い場合には、むしろラケット面を作る打ち方が有効でしょう。逆に、相手のボールが緩い場合、こちらがつなぎのボールを打ちたい場合、比較的安全に打ち合いたい場合など、緩いドライブ系の高いボールを打つ場面も多くあります。

この両方のボールを打ち分けることとができると、その2つの打法がイースタングリップのフォアハンドプレーヤーは大きな武器になるはずです。

Mecir's Tennis (147) 正しいサーブを打つ「コツ」(2)

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Mecir's Tennis (144) 正しいサーブを打つ「コツ」(1)で、ラケットの面方向ではなくフレーム方向にラケットをテイクバックすることを書きました。下の2つの連続写真を見てください。


上の連続写真では、⑥~⑧においてフレーム方向にテイクバックしていることが分かります。その結果、⑨においてラケット面(ボールを打つ方の面)がネット方向(0時方向)を向いています。


一方、2つめの連続写真ではどうでしょうか。⑦~⑩にかけて、ラケット面が開いているのが分かります。その結果、⑫においては、ラケット面がやや左方向(10時方向)を向いています。右腕が非常に強いプロ選手だからこそこうなりますが、アマチュアが⑦~⑩のテイクバックをすると⑫ではラケット面は6時や8時方向を向いてしまうでしょう。

さて、では、1枚目のようにラケットフレーム方向にスイングするにはどうすればよいでしょうか。

これは、私のコツ(まさに脳内イメージ)なのですが、私は、「厚いグリップのつもりで打つ」という事をしています。このイメージが有効な人と、そうではない人がいると思いますので、有効な人は活用してください。

サーブ(特にスピンサーブ)では、ラケットグリップはコンチネンタルまたはもっと薄いバックハンドイースタングリップです。私は、フォアハンドはイースタングリップ(=メシール)ですからあまり大きな違和感はないのですが、フォアハンドがウエスタングリップの場合には、かなり違和感があるグリップです。(とはいえ、ボレーなどでも同じですから、慣れている人はもう違和感は感じないと思いますが。)

上はウエスタングリップです。このグリップでサーブを打つと、ちょうど、ラケット面方向にスイングすることになります。

上は、コンチネンタルグリップですが、フレーム方向で打つと思えば、これがウエスタングリップになります。

さて、この薄いグリップは、フレーム方向にラケットを振るという意味では、厚いグリップです。ラケット面でボールを打つと思うと薄いグリップですが、ラケットフレームでボールを打つと思うと厚いグリップです。そして、その、フレーム方向に厚いグリップでサーブを打つのです。

「そんなことをしたら、本当にフレームでボールを打ってしまうだろう」と思われるかもしれません。しかし、下の二つの理由で、そうはなりません。
  • もともと、スピン系サーブは、ラケットがボールに対して非常に浅い角度で入ります。それは、言い換えると、もともと、フレーム方向でスイングした角度に近い浅い角度でボールが当たってるのですから、あまり違和感はありません。
  • 人間の本能でしょうか、実際にフレームでボールを打つことを、ヒトは無意識に避けるようです。私は何度も試しましたが、実際にはフレームでボールを打つことはありませんでした。
つまり、ここで書く「コツ」というは、薄いグリップで薄い角度でボールを打つ感覚が難しい場合には、発想を転換して、厚い当たりでボールを打つ(その代わりにフレーム方向にラケットを持つ)イメージが有効ではないでしょうか、ということです。

なかなかうまくスピンサーブが打てない(テイクバックでラケット面が開く)と言う人は、是非試してみてください。このイメージで、テイクバックでのラケット面の開きが収まることもあると思います。

Mecir's Tennis (148) 正しいサーブを打つ「コツ」(3)

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正しいサーブを打つコツ(2)で、ラケットをフレーム方向に厚く振るというイメージが有効(な人もいる)ことを書きました。ここでは、フレーム方向に厚く振る際の右腕のイメージについて書きます。


まず、ラケットをフレーム方向に厚く振るというイメージですが、上図の体と平行な線(実際には面)内でスイング(フォワードスイング)します。ラケット面が、この線(面)内にあるイメージです。本来はフォワードスイングが面内で動けばテイクバックスイングは面に拘束されませんが、実際にはテイクバックスイングもこの面内で動かすと、フォワードスイングのイメージがつかみやすいので有効です。

テイクバックスイングでは、まず肘を両肩の延長線の高さに持ってきて、その後で肘を蝶番(ちょうつがい)のようにしてラケットを持つ腕を振り上げることをお勧めします。(必須ではありません。)このようにしてラケットを振り上げると、上図の面内でラケットを振り上げやすいうえに、トロフィーポーズの際に肘が下に落ちないからです。イメージとしては、ロボットダンスのように右肘を使うイメージでしょうか。

その後は、正しいサーブを打つコツ(2)で書いたとおり、ラケットフレーム方向に厚いグリップだと思い、その方向にラケットスイングします。これで、ラケットがボールに薄く当たるので、正しいスピンボールが打ちやすくなります。

ここでひとつ気を付けることがあります。テイクバックで、脇を締めすぎてはいけないという事です。脇を締めると、下図のように肘より先の腕が外を向いてしまいます。その結果、ラケットフレームがスイング方向と角度を持ってしまうのです。その結果、ラケット面が開き、スイング方向とラケットフレームが同じ面内に収まらなくなります。(ラケットフレーム方向ではなく、ラケット面方向にスイングしてしまいます。)

したがって、右脇を閉じず、というよりは右脇を空けて、右腕(肘より先)が体に平行になるイメージ(下図の左)が有効です。



Mecir's Tennis (149) 安定したグランドストロークのために必要なこと

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今回は、基本中の基本…あまりにも基本的なことを書きます。しかも、これまでにも何度か同じような内容を書いています。復習だと思って読んでください。

今回、書きたいのは、安定したグランドストロークのために必要なことです。

ボールが飛んできました。どこが仕事をするか。それは、目と足です。

目は、ボールがバウンドするまでは絶対のボールを見続けます。当然と思うかもしれませんが、それが難しいことが多いのです。体を移動させている場合であっても、目はボールがバウンドするところを見届けなくてはなりません。

同時に、足です。とにかく、早く動くのです。早く動いて、下半身のテイクバックを完了させるのです。早すぎて構いません。相手のボールが遅い時には、タメができることになりますが、それで構いません。タメはあればあるだけよいのです。

さて、ここまではこれまでにも書いていたことです。ここから先が、今回、追加したいことです。

それは、上体(特に腕)の力です。ここで、上体に力を入れないという事をルールにしてみます。力を入れない代わりに、大きなフォロースルーで(ネットを高いところでこえるような)ボールを打ちます(こちら)。

腕に、上体に力を入れないというのは、案外怖いものです。ボールに打ち負けそうに思うからです。しかし、まずは、力を抜いてボールを打ちます。もし、ボールに打ち負けたとすれば、それは、上体の力が抜けていることが原因ではなく、多くの場合は、上に書いた足の動き(テイクバック)が間に合っていないからです。足さえ間に合っていれば、勇気をもって上体の力を抜きましょう。

本能はよくできていて、案外、力を抜いて打っても、必要最低限な力は入るものです。もし、もう少し強く打ちたければ、そこから少し力を追加します。力を入れているところから抜くよりも、抜いているところから入れていく方が、力の加減が操作しやすいものです。また、力を抜いて大きなフォロースルーを取ることで、厚い当たりのボールを、正確なコントロールで打つことができます。

上体の力を抜く勇気。これは、もちろん、目と足の動きができていることが条件になりますが、ゲームでは有効ですので、是非試してみてください。

Dunlop NEOMAX2000プチ情報

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愛用しているダンロップ NEOMAX2000ですが、最近、新しく1本、追加購入しました。届いたラケットを見ると…どういう理由かわからないのですが、ほんの少し、これまでの製品と違っていたので、そのことを報告しておきます。

最近の一般ラケットと比較すると重いと言われているNEOMAX2000(ダンロップのサイトによるとフレームだけで320g)ですが、私はそれにリードテープを貼っています。愛用しているリードテープはTOURNA(トーナ) LEAD SWINF WEIGHTS(リード スイング ウエイト) LDS-4という製品です。


これは、アルファベットの大文字のHの形をしており、ラケットの内側に貼り付けることができます。ストリングが切れた時も張り替え時にテープをはがす必要がなく、ラケットの内側なのでプレーにも影響がなく、重宝しています。(価格が高いのが難点ですが。)


ところが、新しいNEOMAX2000は、なぜかペイントが微妙に変わってしまいました。一見しただけではわからないのですが、よくみると、以前よりもラケット表面のつや消し度が上がっています。このおかげで、上のリードテープが貼りつかなくなってしまいました。貼り付きが悪くなった程度ではなく、全然貼り付きません。

ラケットは正規品だと思うので、粗悪品という事ではなく、ダンロップ社が塗装を変更したのだと思うのですが、ほんのちょっとしたことなのですが困っています。別のリードテープを探さねば…。

ちなみに、この新しいラケットでコートでボールを打った感じでは、今までのNEOMAX(3本持っています)と打感は変わりません。また、上記のダンロップのサイトには、塗装の変更は特になにも書いてありませんでした。

Mecir's Tennis (150)  サーブのフォームは野球と同じ?

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正しいサーブを打つ「コツ」()()()でテニスのサーブの打ち方を書きました。これはサーブで苦しんだ(そして今でも苦しんでいる)私が、試行錯誤してたどり着いた「コツ」です。(したがって、メシールのフォームとはちょっと違います。)

試行錯誤する中で書籍、雑誌、Webなどであちらこちらに、「テニスのサーブのフォームは野球のボールの投げ方と同じ」とあるのが気になって仕方がありません。これは、野球経験がない人が書くのでしょうか。

サーブと野球のボールの投げ方は、確かに、肩の回転を使う点では共通です。以前、グランドストロークでは「えもんかけ」のように肩を使うと書きました(こちら)が、サーブも同じです。

しかし、ひじの使い方は全く違います。野球では、ひじから先に前に突き出します。テニスのサーブは、逆に、ひじは遅らせます(肘をちょうつがいにして、右腕を降り出します)。下の写真(松阪大輔投手)の連続写真の下段の一番左を見てください。)


下のフェデラーのサーブの写真では、最後の4枚の写真で右ひじが蝶番のように動いているのがわかります(詳しくはこちら)。つまり、サーブでは右ひじは止まり、そこから腕が前に出ていくのです。

また、両者は、その少し前のステップでも異なります。野球の投球フォームでは、上の写真の上段一番右の写真のように肩を張り出して右ひじを後ろに引きます。テニスでは、右ひじは後ろに引きません(引いてはいけません)。右ひじは、ずっと体の前にあるのです。


テニスのサーブでは、野球のようにトスアップの後、肩を張って右ひじを大きく後ろに引っ張りはしません。

野球経験者の私にとって、「サーブや野球の投球フォームのように」というのはとても混乱しやすい説明なので、メシールのテニス(32) サーブ(その4) 野球の投球フォームの弊害で書いた内容を、再度掲載してしまいました。

人によって感じ方はいろいろでしょうが、私には、野球の投球よりもテニスのサーブのほうが、身に着けるのに時間がかかっています。(おそらく、野球は、物心がつくころからやっていたからでしょうね。)




Mecir's Tennis (151)  最近のテニスには使えない打ち方?!

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このブログは、スロバキア(選手時代はチェコスロバキア)のプロテニスプレーヤーであるミロスラフ・メシール(メチール)のテニスについて考えるブログです。メシールは、最近では主流ではないイースタングリップのフォアハンドプレーヤーであり、フォアハンドについては最近のテニススタイルとは異なる点が多々あります。

今回は、その中でも恐らくかなり現在のテニススタイルとは異なるフォアハンドの打ち方について書きます。したがって、メシールのテニスに興味のない方には参考にならないと思います。参考にならないというよりも、最近のテニス理論とはかなり違うので納得がいかないかもしれません。

いつも通り、これは脳内イメージですので、実際にはこの通りになっているわけではありません。「方法」と「結果」の違いでも書きましたが、大切なのは方法の説明であって結果の解説ではないことを思い出してください。

さて、メシールのフォアハンドですが、まず、そのスイングスタイルを分かりやすく例えるならば、何に近いかを考えてみました。良い例がなかなか浮かばないのですが、一番近いのはボーリングの投げ方だと思います。フォアハンドストロークの打ち方がボーリングのボールの投げ方に近いのです。ウソのようですが、かなり近いと言ってもよいと思います。以下に、その脳内イメージを説明します。


メシールのフォアハンドでは、まずラケットを持つ右肘を緩やかに曲げます。右肘はまっすぐではだめですし、曲げすぎて力が入りすぎるのもダメです。自然に緩やかに曲がった状態です。(原則的には、スイングの間、右肘はずっと緩やかに曲げておきます。)

上腕部、肘から先、ラケットは同じ面内におさまります。これは、つまり、手を甲側や掌(てのひら)側に曲げないという事です。イメージとしては、運動会の行進の時の手の使い方に似ています。

さらに、ラケット面も同じ面内になります。この面は、地面に垂直に近くなります。(体の構造上、完全に垂直と言うわけではありません。)この場合、親指はこの面内で前方向(スイングする方向)にあります。


さらに、スイングですが、この面内で行います。つまり、親指方向にそのままラケットを下から斜め上方向に振り上げます。肘も軽く曲げたままです。そうすると、ラケットは面でなくフレームでボールを打つことになってしまいますが、これはあくまで脳内イメージです。実際には、ラケット面でボールを打つはずです。この点は、正しいサーブを打つ「コツ」(2)で書いたとおりです。どうも、人間の本能で、上図のイメージでラケットを振っても、実はラケット面側でボールを捉えるようなのです。(その理由は、私にはよく分かりません。)

上図で示したスイング面ですが、図では地面に垂直になっていますが、実際には多少傾くはずです。完全に地面に垂直ならずに、ボールに合わせて傾いた面内でスイングしても構いません。ただし、傾いていてもよいのでその面内でスイングをすることが大切です。スイング面とラケット面がずれてはいけません。

また、その面は、ネット方向から傾くこともあります。インサイドアウト方向やアウトサイドイン方向など、打つボールのタイプや方向によって異なります。(下図を見てください。)

このスイングで(と言うよりも、どのスイングでもですが)大切なことは、フォロースルーまでしっかりと振り切ることです。また、フォロースルーではできるだけ長くスイング面とラケット面を一致させることも大切です。(つまり、ラケット面をこねないようにするという事です。)スイング中に力を入れる必要はありません。むしろ、ラケット面でボールをしっかりと触り、そのままフォロースルーまで大きなスイングでボールを運ぶイメージが有効です。もし、力を入れるのであれば、どちらかと言うとフォロースルーの時に入れる方がよいぐらいです。


この稿で書いたことをまとめてイメージすると、まさにボーリングの投法に似ているように思います。(と言っても、私はボーリングの正しい投げ方を知りませんので、ボーリングの専門家には「全然違う」と言われるかもしれません。そのあたりは、野球の投球フォームとテニスのサーブが違うというのと同じですね。)

なお、アプローチショットはラケットを横に振るで説明した打ち方は、この打ち方をそのまま使います。つまり、体の前にこの面を置いて、親指方向にラケット面を面内においてスイングします。方向がちょっと違いますが、車のワイパーのようなイメージです。繰り返しますが、スイング面内にラケット面が含まれており、親指からスイングします。

Mecir's Tennis (152)  締まったインパクト(最近のテニスには使えない打ち方?!の続き)

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Mecir's Tennis (151)  最近のテニスには使えない打ち方?!では、ラケット面とスイング面を一致させることを書きました。ボーリング打法です。

もちろん、これは脳内イメージですので、実際にはスイングとラケット面がスイング中にずっと同じ面になるのは難しいです。では、特に、スイングのどの部分でラケット面をスイング面に含めるのがよいでしょうか。

それは、インパクトです。インパクトの時に、できるだけラケット面をスイング面に一致させるようにするのが理想的です。その理由は、ボールにラケットスイングの力が伝わりやすいからです。

フォワードスイングの途中ではスイング面とラケット面が多少ずれていても構いませんが、インパクト時には一致させるイメージでスイングしてみてください。この時、右脇がしっかりと締まることが分かると思います。そして、ボールに体の力がラケットを通じて伝わります。その瞬間、締まったスイングになるというイメージです。

締まったフォアハンドインパクトのためには、右足かかとは外側に出てはいけません。また、右ひざも内側に折れ込むイメージです。どちらかと言うと、インサイドアウトのスイングイメージになると思います。

勘違いしてはいけないのですが、このような締まったインパクトスイングはどの場合にでもできるわけではありません。相手のボールが比較的甘い場合で、とくに打点が腰よりも低い場合に有効です。打点の高いボールではこのような打ち方はできません。
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